下肢の皮膚潰瘍
すねや足にできた「えぐれた傷」が長く治らない状態を、下肢の皮膚潰瘍といいます。はじめは小さな傷や靴擦れでも、 血の流れが悪い、むくみがある、糖尿病がある、といった背景があると、なかなか治らず潰瘍になってしまうことがあります。
当院では、傷口をきれいに洗い、壊死した組織を取り除き、軟膏や専用のシートなどで保護しながら治療を進めます。また、足をきれいに洗うこと、弾性ストッキングなどを使った圧迫療法、ご自宅でのケアについても丁寧にお伝えしています。
下肢の傷は、自宅でうまく管理するのが難しいことも多いです。けいゆうクリニックでは、実現可能な方法を患者さんと一緒に考えながら、無理なく続けられる処置を大切にしています。
下肢の皮膚潰瘍とは
下肢の皮膚潰瘍とは、すね、足首、足の甲、足の指などにできた傷が深くなり、皮膚がえぐれたようになって、長く治らない状態です。
通常のすり傷であれば少しずつ皮膚がふさがっていきますが、血流やむくみ、感染、糖尿病などの影響があると、治る力が落ちて傷が長引くことがあります。
「少しぶつけただけなのに治らない」
「靴ずれが広がってきた」
「足の傷からじゅくじゅくした液が出る」
このような場合は、早めの受診をおすすめします。
下肢の皮膚潰瘍の症状
下肢の皮膚潰瘍では、次のような症状がみられます。
- すねや足の傷がなかなか治らない
- 皮膚がえぐれたようになっている
- 傷口からじゅくじゅくした液が出る
- 赤みや腫れがある
- 痛みが続く
- 傷のまわりの皮膚が黒い、黄色い、白っぽい
- 足のむくみが強い
- においが気になる
痛みが強い場合、赤みが急に広がる場合、発熱がある場合、足先が黒く変色している場合は、より早い対応が必要になることがあります。
下肢の皮膚潰瘍の原因
下肢の皮膚潰瘍は、傷そのものだけでなく、傷が治りにくくなる背景が関係していることが多いです。
主な原因には、次のようなものがあります。
- 足の血の流れが悪い
- 足のむくみが強い
- 糖尿病によって傷に気づきにくい、治りにくい
- 靴ずれや圧迫
- 転倒や打撲による傷
- 皮膚が薄くなって傷つきやすい
- 感染が加わっている
糖尿病の方では、神経の感覚が鈍くなり、傷に気づくのが遅れることがあります。また、血流が悪い方では、傷を治すために必要な酸素や栄養が届きにくくなります。
原因は一つとは限らないため、傷の状態だけでなく、足のむくみ、皮膚の色、痛み、持病、内服薬なども確認しながら診療します。
下肢の皮膚潰瘍の治療法
傷口をきれいにする処置
当院では、まず傷口をきれいに洗い、状態を確認します。汚れや不要な組織が残っていると、傷が治りにくくなることがあります。
壊死した組織がある場合には、必要に応じて取り除きます。壊死とは、皮膚や組織が傷んで、治る力を失っている状態のことです。すべてを一度に処置するのではなく、痛みや出血にも配慮しながら進めます。
軟膏や専用シートによる保護
傷の深さ、じゅくじゅくの量、感染の有無に合わせて、軟膏や専用のシートを使って保護します。傷は乾かせばよいというものではなく、状態に応じた湿り気を保つことが大切な場合があります。
ご自宅での処置が必要な場合は、どのように洗うか、どのくらいの頻度で交換するか、どんな時に受診が必要かをできるだけわかりやすくお伝えします。
むくみへの対応と圧迫療法
足のむくみが強いと、傷が治りにくくなることがあります。その場合、弾性ストッキングなどを使った圧迫療法を検討します。圧迫療法とは、足を適度に圧迫して、血液やリンパの流れを助け、むくみを減らす治療です。
ただし、足の動脈の血流が悪い方では、強い圧迫が合わないこともあります。足の状態を確認しながら、安全に行える方法を考えます。
ご自宅で気をつけていただきたいこと
下肢の皮膚潰瘍は、通院時の処置だけでなく、ご自宅でのケアも大切です。
- 足を清潔に保つ
- 傷を自己判断で強くこすらない
- 合わない靴を避ける
- むくみがある場合は足を少し高くして休む
- 処置方法を自己判断で変えない
- 赤み、痛み、におい、発熱がある場合は早めに受診する
とはいえ、自宅でうまくやるというのは、なかなか難しい場合もあります。手が届きにくい、目が見えにくい、毎日の処置が負担になるという方もいらっしゃいます。当院では、患者さんの生活に合わせて、実現可能な方法を一緒に考えて工夫していきます。
下肢創傷処置管理料について
当院は、下肢のきずの管理に関する専門の講習を修了しております。そのため、対象となる患者さんには、下肢創傷処置管理料として月1回500点を算定しています。
下肢創傷処置管理料とは、下肢の傷を継続的に管理するために、一定の研修を修了した医療機関で算定される保険診療上の項目です。実際の窓口負担は、保険の負担割合や同日に行う処置、検査、薬の内容によって変わります。
下肢の皮膚潰瘍についてのよくある質問
Q1. 足の傷はどのくらい治らなければ受診した方がよいですか
A1. 数日たっても良くならない、じゅくじゅくする、赤みや痛みがある場合は早めにご相談ください。糖尿病や血流の病気がある方は、特に早めの受診をおすすめします。
Q2. 傷は乾かした方がよいですか
A2. 傷の状態によって異なります。乾かした方がよい場合もありますが、専用のシートなどで適度な湿り気を保った方が治りやすい場合が多いです。自己判断せず、傷の状態に合った処置を行うことが大切です。
Q3. 弾性ストッキングは誰でも使えますか
A3. むくみがある方に役立つことがありますが、血流が悪い方では注意が必要です。足の状態を確認したうえで、使えるかどうかを判断します。
Q4. 大きな病院を紹介されることはありますか
A4. あります。感染が強い場合、血流の評価や手術が必要な場合、入院治療が必要と考えられる場合には、近隣の総合病院と連携して対応します。
院長より
下肢の皮膚潰瘍は、患者さんご自身もご家族も、毎日の処置に悩みやすい病気です。「洗ってよいのかわからない」「どの薬を塗ればよいかわからない」「ずっと治らず不安」という声をよく伺います。
けいゆうクリニックでは、傷をただ見るだけでなく、むくみ、血流、糖尿病などの背景も考えながら診療します。下肢のきずの管理に関する専門の講習を修了しており、傷口の処置、軟膏やシートによる保護、圧迫療法、ご自宅でのケアまで含めて、患者さんに合った方法を一緒に考えていきます。
